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『スタジオ える あっと ブログ』 略して 『鼻眼鏡』!(ええええ?)
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第三六話 『新しい土地、新たな夢』
 呼ばれた気がして声の聞こえた方に顔を向けると、自分の右腕、息子のように愛しい青年が元気よく腕を振っていた。その後ろには王女とその親衛隊が控えていて、青年と同じく自分が皆の所に行くのを待っていた。
 だからそちらに向かうのはごく自然な事だ。しかし、その一歩を踏み出そうとすると目の前が真赤に染まった。の様に燃ゆる、妙に馴染みが深い


 そして『自分』が振り向き、『私』と目が合った。


 赤い髪の『自分』はどこか困ったように『私』を見、その視線が下がっていき、それを辿ると『私』が『彼』の服を掴んでいた。

 『私』は困惑し『自分』を見上げるか、『彼』もまた何をすれば良いのか分からないようだった……













「お客様?」
 優しい女性の声が、やんわりとエイレの意識を覚醒させた。
 何?と聞くように顔をあげると、制服姿の女性が笑顔で言う。
「もうすぐ昼食の時間ですが、頂かれますか?」
「ああ…はい、いただきます…」
 まだ眠たそうなエイレに微笑みながら、女性は座席を起こすようにと頼んでから他の乗客に同じ事を言うため離れた。
 女性、キャビンアテンダントの後ろ姿を眺めながら、エイレは自分が飛行機に乗っていた事を思いだした。






 グアテマラから、不法侵入したくせに、驚くほどあっさりアメリカに帰れたエイレ達は、次どう動くか話し合った。確かに親衛隊の方は集まったが、肝心の王女自身が見つかっていないのじゃあ意味がない。
「で、肝心のエスパー・アレクサンダーはなぁ~んも分かんないのね?」
 皮肉気味に言うニーシャだったが、本当の事だったのでアレックスは何も言い返せなかった。
「そうなると、地道に動くしかないね~……エイレはどこ行きたい?」
 まるで旅行の話をしている口調のニーシャに苦笑しながら、エイレはふと窓の外を見た。
 グアテマラに3週間もいる間、アメリカはすっかり秋になっていた。赤道に近いおかげで暖かかったグアテマラとは違い、ロサンゼルスは少しばかり肌寒くなっていて、アレックスと共に日本を出てから2ヶ月以上経ったのだと認識させられた。
 日本のパスポートを持っているエイレは、アメリカには3ヶ月以上いられないから、どっちにしろ一旦日本に帰らなくてはならないのだ。その事をニーシャに伝える。
 そしたらいきなりニーシャが私も一緒に行くと騒ぎ立てた。
「いや、そんな一緒に行かなくても大丈夫――」
「そう言ってマティアスに攫われたのはどこの誰かな?!」
 いや、マティアスじゃあないんだけど…と言いたいのを我慢し、エイレは諭すように説明した。
「ニーシャの心配はもっともだと分かっている。でも、彼等は私達が王女様を見つけない限り絶対に手出しはしない」
「そんな保障、どこにあるのよ!」
「マティアス…彼が私の保障よ」
 そう言いきるエイレに、他の皆が顔を見合わせた。
「あの……マティアスって、あの『黒豹』の事だよね?よかったら、何で彼が保障になるのか分かりやすく説明してくれるかな?」
 おずおずと手をあげながら聞くデイビットだったが、他も同じ気持ちなのだと表情を見れば分かった。
「彼は私が隊長だって事、そして王女様を見つけていない事を見抜いている。だから私達を『泳がせる』方が効率が良いと思っているに違いない…
 私が逃げ出した後、実際、彼は本気で私を探し出そうとはしていなかった。本気だったら、例えどんなに優秀でも、彼は部下に指揮を任せるはずがないから、ね」
 エイレの言い分に反論は出来ないので何も言わなかったが、ニーシャは明らかに納得していない表情だった。
「それに」とエイレは続けた「日本に一時帰国するだけで、すぐ違う国に旅立つ訳なんだし、現地集合でも大丈夫よ」
 ね?と首を傾げると、しぶしぶとだが、ニーシャは納得してくれたようだ。
「それは良いけどよ、結局どこに行くんだ?」
 もっともな事を聞くラモンに、一同はまた唸った。
「それなんだが…」と頭をかきながらアレックスは言った。「俺、来年からドイツに帰らなきゃならないんだ」
 初耳である。
「俺が専属でスタントマンをやってる役者が久々に母国のドラマに出るって言って聞かなくって、俺も一緒に行く羽目になったんだ」
「そういえば言ってたっけ、専属のスタントマンだって…その役者って有名なの?」
 ある意味失礼ともとれるニーシャの質問だったが、アレックスは気にせずどうだろうと考え込んだ。
「アメリカより、海外での方が有名かな……ハインツ・ブラントっていう奴なんだが――」

「それだ!」

 いきなりデイビットが声をあげるので思わず他が皆ビクッとした。
「ずっと誰かに似てるな~って思ってたけど、そうだ、ハインツ・ブラントだ!オーストラリアでも結構有名なんだよ、彼!」
 そんなに似てるの?と言いたげなニーシャにデイビットは興奮しながら、雰囲気がすごく似ていると力説したのであった。




 そして話があれよあれよと進み、結局次はヨーロッパに行く事となったのだ。
 そこでどうやって行くかが少しもめたが、結局3つのグループに分かれる事となった。ラモンは少なくとも英語をマスターしなくてはならないので、アレックスとともに年末までアメリカで過ごす。デイビットは拠点があった方が良いとアパートを探すと言い、ニーシャが一緒に行く事になった。そこで残されたのはエイレだが、ニーシャ達がアパートを見つけるまでどうするかが問題になった。現地集合にすべきだとか、それよりも一緒に日本へ行くべきだといろいろ意見が出たが、ちょうど良い機会だしやろうと思っていて結局やらなかった事をすると宣言した。


 それは、名付け親に会いに行く事。



 母が亡くなって以来、ほとんど連絡を取っていなかったし荷物を預けたお礼も兼ねて行かなくてはと使命感を感じていた。
 それに、腕時計の事もある。
 エイレが大学に合格した記念に名付け親が特注で作ってくれた腕時計だったのだが、不可抗力とは言え、失くしたことには変わりないのでそれを謝らなくてはと罪悪感を抱いていた。



 そして今、エイレはロンドン行きの飛行機に1人で乗っているのである。それなりに食べられる機内食を頬張りながら、エイレは先ほど見た夢を思い出していた。
 おかげでマティアスに失望され殺される悪夢を見なくなったものの、あまり頻繁ではないものの、新たな夢を見る様になった。
 王女とその親衛隊の元へ行こうとすると、突然体がリアンダーとエイレの二つに分かれ困惑する夢。ただの夢にしてみては、なんとも象徴的だが、その意味を理解できずにいる。
 思わずため息をつくと、先ほどのキャビンアテンダントが寄ってきて紅茶はいかがと聞いてきた。喜んで貰ったものの、味はやっぱり薄かった。




 飛行機を降りればエイレは1年以上訪れていない土地に足をつける事となる。そして、彼女の名付け親、リチャード・アルドリック・キャラハンとその家族と会えるのだ。
 隊長としてではなく、御前映礼と言う1人の女性として彼らに接することが出来るのだ。
 ニーシャとデイビットがアパートを見つけるまで、エイレは隊長という役目から一時の休みをもらう事となったのだ。





 しかし、それが意外な形で終わる事を、エイレはこの時まだ知らなかった。





↓あとがき

やった!ヨーロッパ編だ!第三六話!です。


なんか、いきなり緊張感がなくなりましたね(苦笑)
でもまぁ、敵の方から手を出してくる可能性は低いし、あんまり焦らず王女を探せるってもんですからね!

とにかく、今回はアレックスが専属でスタントをしている俳優の名前が出たり、エイレの名付け親の名前が出ました。俳優ハインツはこれから登場予定はないけど、名付け親リチャードはこれからバンバン出るので楽しみにしててください♪
しかも、かなり凄い人物です!

最後に変な伏線を張りましたが、そっちの方も気長に待っていただけると幸いです❤


では、来週ほのぼのとしながらお会いしましょう!

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

コメント
この記事へのコメント
新しい展開♪
ドキドキしますね~!
これから何が起こるんだろう?
ワクワクですo(^-^)o
2009/02/17(火) 19:34:08 | URL | うだジロー #-[ 編集]
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