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『スタジオ える あっと ブログ』 略して 『鼻眼鏡』!(ええええ?)
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第三一話 『ラモンとデローリス』
 前世だなんて、信じろと言われても無理な話だ。ラモンはきっと、あんな状態でも本当の事が言いたくなくて口から出たでまかせだろう。少なくとも、デローリスはそう信じこもうとしていた。
 しかし、目の前で繰り広げられている会話を見て、彼女はその考えを改めかけていた。
 肌の色、顔立ちや骨格、そして何を話しているのかは分からない言葉の節々に聞こえてくる、違った訛り。どう考えても、同じ国の人ではない。
 それなのに、彼等は親しく、何の問題もなく話している。しかも、かなり親密な感じで…
 他国人同士がこんな風に仲良くなれるなんて、むしろ前世で知り合いだったと言われないと納得できないのかも知れない、頭の隅でデローリスはそう考えていた。
 突然、ラモンがぼそっと何かを言った。なんて言ったかは聞こえなかったが(いや、聞こえても理解できなかったのかも知れない)、エイレ他の注目を集めるのに十分だった。
 そこからまた2、3言を話してからラモンは回れ右をし、その場から立ち去って行った。そしてその後姿を眺めていたデローリスは、どうしようもない遣る瀬無さを感じ、胸を押さえながら涙を流した。






「ちょ、なに不貞腐れた子どもみたいな事言ってるのよ!あのナリでそんな事言うなんて信じられない!」
 あきらかにニーシャはラモンの言葉にカチンときていた。しかし、ラモンのあの態度に無理もないとエイレは思ったのだが、その理由をなぜかそれを口にすることが出来なかった。

『どうせ仲間に入れてもらえないのなら、ここで抜けるぜ』

 それはきっと、エイレが言った『覚悟のない者は迷惑なだけだ』発言を言葉通りに信じた結果なのだ。なら、訂正しなくてはならない。決して彼を遠ざける意味で言ったのではなく、彼を出来れば巻き込まないために言った言葉だと。
 しかし、それが出来ない。
 それを言ったら、何かが崩れるような気がするのだ…
「ちょっと、あの馬鹿に喝を入れてくるから2人はここで待ってて!
 ほらアレックス、あんたも来るのよ!」
「え、俺が?」
「力づくで納得させるには、あんたが適任だからね!」
 力押しかよ、とアレックスはぼやきながらも律儀にニーシャの後をついて行った。
 彼らの後ろ姿を見て苦笑いしそうになったデイビットだが、ふと泣き声が聞こえ後ろを振り向いたらアレックスたちと一緒に出てきた女性が泣いていた。ぎょっとして何事かとエイレに聞いた。
「ラモンの…ジェネの今の名前ね、の彼女……だった人」
「彼女?!……まぁ、あの頃よりはだいぶ成長したから、いても当たり前だけど…それにしてもなぁ~……」と、ぶつくさ言うデイビットが可笑しかった。
「でも」とデイビットは続けた「なんか、破局した感じだね?」
 そうだね、と同意するようにエイレは頷いた。
 例え、2人の仲が悪くなったのにエイレ自身は責任がなくとも、その切っ掛けはやっぱり自分の存在だと自覚している。ここでエイレが何か言ったらさらに状況を悪化するかもしれないと思ってもみたが、これ以上何が悪くなるか?
 ちょっと待ってくれる?と手でデイビットを制して、エイレはデローリスに近づいた。






 ジェネの事に関しては、ネストルはすべてリアンダーに責任を預けていた。面倒くさい、と思うところもあったが、ジェネが王女親衛隊に入った頃は連合との緊張もピークに達していたので、国王の忠告者でもあるネストルが彼に構う暇がなかったのだ。
 それを今、ニーシャは後悔していた。
 なんだかんだ言ってうちの隊長は年下に甘いのだ。ユリウスにだって飴と鞭を心がけていたようだが、はたから見れば飴の方が断然多かった。
「こら、ジェネ!止まりなさいよこのおバカ!」
 先ほどからずっとこの調子で叫んでいるニーシャだが、言葉自体はそんな怖いものでもないのに妙な迫力がある。アレックスは今その怒りが自分に降り注いでいないのに胸をなで下ろしていた。
「ジェネ!このバカジェネ!!」
「ジェネジェネ言うな!」いい加減に腹がたってかついに叫び返す。
「他の呼び方がないんだからしょうがないじゃない!」
「俺にはラモンって名前がある!」
 そう、と妙に嬉しそうにニーシャは言った。
 その笑顔の裏が怖いのだとアレックスは分かっていたが、果たしてラモンは気づくのか?
「で?そのラモンは、なに子どもみたいに不貞腐れているのかな?」
 自分に向けられていたら、絶対震え上がっているだろうと実感するアレックスだが、なぜか平然とラモンは言い返した。
「ほっとけよ!どうせ俺は知りもしない姫さんを守る覚悟なんてないんだよ!
 自分のことでいっぱいいっぱいで、そこまで気が回らないんだよ!迷惑だけなんだったら、ほっといてくれよ、え?!」
 ラモンのまくしたてる言葉に、なぜか胸騒ぎを感じ始めるアレックス。そんなアレックスとは対照的に、ニーシャは呆れていた。
「なぁに?あんた何時から隊長の言葉を素直に聞くようになったの?」
 ワザとらしい溜息をつくニーシャを男2人は違う目で見た。
 ラモンは笑われたことでの苛立ち、そしてアレックスは『隊長の言葉』と言う事での驚き。
「そんなの、隊長がジェネに申し訳ない事をしたなって思っているから言った言葉よ―いや、最後まで聞きなさい。
 あんたはね、どうせ優しく言っても聞いてくれないのを分かっているからきつく言っただけよ。今の生活から切り離すのは忍びないし、どうせなら後腐れないように強く言っておけばあんたもわだかまりが残らないで隊を抜けられると思ったんでしょうね…
 不器用だけど、それが隊長の優しさ。もちろん、あなたが一緒に行きたいと思っているのなら、誰も否定はしない、むしろ歓迎するわよ?」
 そう言って、今度は普通の笑みを見せるニーシャ。


 しかしそれに反してアレックスの気持ちは沈んでいた。
 確かに、それはとても隊長らしい言葉だ。でも、隊長…リアンダーすぎる。



 アレックスが日本で出会った、あの人っぽくないのだ、全然。









 デローリスが泣きやむのを待ってから、エイレは聞いてみた。
「聞きたい事があったら、何でも聞いていいよ?」
 あなたにはちゃんと知る権利があるのだし、と優しく言った。
 デローリスは一瞬口を開いたが、思い直したように閉じた。いまさら何を聞けばいいのかと、暗に言っている表情だった。
 そこで、エイレの方から助け船を出す事にした。
「…本当の関係を説明できるけど、どっちにしろウソっぽい話…その表情だともう既に聞いているみたいね?
 言い訳にはならないけど、どうせ信じてもらえないから、もっともらしいウソをついた。それが結局仇になってしまった事を謝るわ。ごめんなさい」
 頭を下げるエイレの方を見ないで、デローリスはぼそりと言った。
 結局…私はあいつの何だったのかなぁ~…と
 エイレが返答を出来ずにいると、デローリスはやっと振り返った。
「私、この街を出る」
 目を丸くするエイレに、前から考えてたの、とデローリスは言った。
「父の暴力に耐えられなくなって家を出たのが6年前…アルコール中毒で病院生活を送っていると、おばあちゃんから手紙が届いてて、今彼女は一人で生活してるみたい……
 体も不自由になってきたおばあちゃん一人じゃいくらなんでも可哀そうだと思うし…今の私は6年前のティーンエイジャーでもない。
 私も、逃げてばっかりじゃダメかなって思ってたの」

 デローリスの言葉が、ズシズシと心に重く響く。

「ねぇ、1つだけ聞いてもいい?」
 ちゃんとした答えがもらえるとは思えないが、と付け加えるデローリス。
「あなたを見ている時、話している時、時々違う人物と話している気分になったの…ねぇ、エイレ?」



 あなたはいったい誰なの?





↓あとがき

今回は遅れて届けます、第三一話!
(本当に遅かったな?)


グアテマラ編のクライマックスから一変、フォローの為の話でしたが、全くフォローされてませんね(汗)
しかも『隊長=エイレ?』的な話にもなってるし……

おかげで書くのがすごく大変でした(汗)


では、来週は遅れないよう頑張って書きたいと思います!
……でもどうなるんでしょう(汗)

自分でもちょっと不安な来週です!
(コラコラ(汗))

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

コメント
この記事へのコメント
やっと…!
書き上がったようですね!
随分時間がかかったようで、心配しました。
体調に気をつけて下さいね(o^-')b
 
お話、フォローはまだ続くんですよね???
2008/10/14(火) 13:50:38 | URL | うだジロー #-[ 編集]
あははははぁ~ですよ、うだジローさん
時間がかかりました(汗)
なんか、クライマックスを通り過ぎて、ここのフォローを書くのにテンションが全く上がらないという事態に陥りまして…

言い訳です、ごめんなさい!!

はい、フォロー話はまだ続きます!
詳しくは書きませんが、とにかく『アレックス、ガンバ!』って話になりそうです(笑)
2008/10/19(日) 20:36:39 | URL | EL #-[ 編集]
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