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『スタジオ える あっと ブログ』 略して 『鼻眼鏡』!(ええええ?)
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第二四話 『疑心』
 初日は純粋に哀れんだ。

 3日目で少し疑問を抱く。

 そして、確実におかしいと感じたのが5日目。









 レオナがデローリスと出会ったのが、今日から6日前になる。自分と似たような境遇の彼女を哀れんだのは本当だし、彼氏に殴られたと言う彼女の話が嘘だとは思っていない。
 それでも、デローリスは疑心を掻き立てられていた。

 レオナの話にではない、ラモンとの関係にだ。

 ラモンのはとこだかそのまたいとこだと言っていたし、日系人の2世や3世が多い事もあって普通に受け入れたのだが、3日目で少し疑い始めた。理由はロサからの情報だ。
 どもり癖のあるロサは、来るはずのない旦那からの手紙を毎日待っている。酷い虐待にあったにもかかわらず、そして自ら出て行ったのにもかかわらず、いつかよりが戻せるのではないかとロサは思っているようだ。デローリスに言わせてみれば、彼女はただ単に依存する相手が必要だけなのだ。
 ともかく、彼女は毎日朝早く起きて郵便を一番に受け取っている。誰にも旦那からの手紙を見せたくないのか、それとも貰った自分の表情を見せたくないのか、それは分からない。しかし、そんな事をしているせいか、妙に噂話が好きなのだ。
「ね、ねぇデローリ…デローリス?」
 正直うざったく感じるどもり声だが、デローリスは営業用の笑顔を貼り付けながらロサの話を聞く。
「あ、あの…レオナって子ね?き、今日もおな、同じ人からて…手紙がきてた……の」
「あら、本当に?」と、軽くあしらおうと思っていたら、つっかえながらロサは説明した。
 曰く、彼女が来た次の日から2日続けて手紙が届いていると。その差出人は『GENE』としか書いてなくて、住所もなければ切手もない。一体誰から手紙を貰っているのでしょうね?





 別にレオナが誰から手紙を貰ってもデローリスには関係ない事だ。ロサがない所からも煙を立たせるのが好きだと知っているのだが、疑問を一度感じてしまったからには、追求しない時が済まなくなっている。
 名前だけの手紙の差出人は、つまりレオナが何処に居るか知っている人物となる。そうなると差出人は彼女ととても親しい人物の可能性が高いのだが、レオナはそんな人物の事を一度も話したことがない。いや、話さなくても良いのだが、そういう雰囲気すら匂わせないのはやっぱりおかしい。
 だから、ラモンにその事を話してみた。
「この近くにレオナのお友達っているの?」
「そりゃいないだろ、あいつは故郷の町から逃げ出してきたんだから」
 妙に自信満々なのが変だ。
「でも、分からないわよ?学生時代で引っ越してしまった友人とか、就職のため都会に出てきた友人とかいるかも知れないでしょ?」
「まぁ、それはあるかも知れないな」と、やけにあっさり頷く「何せ、この前再会したばかりで、あいつの事情そこまで知っているわけじゃないからな」
 腑に落ちないと顔に出ていたのか、ラモンは「大丈夫、俺を信じろ」と励ましてくれたのだが……それでも納得できなかった。
 それはデローリスの女の勘が働いていた証拠だ。



 それからデローリスは、何とかレオナの口から情報を入手したかったが、思っていた以上に彼女の口は堅かった。いや、堅くは無いのだが、はぐらし方が上手いのだ。
 例えば、偶然を装ってロサから例の『GENE』からの手紙を預かり、レオナに「あ、そういえばこんなのが来てたわよ」と差し出してみる。これで少しでも動揺したら何か分かると思ったが、予想に反してレオナは感謝の意を述べるだけだった。だからもう一歩踏み込んでみた。
「それ、切手がついてなかったけど…もしかして近くに知り合いでもいるの?」
「知り合い…なのかな?元彼から逃げ出した時、この町でお世話になったホームレスなんだけど、どうやってか私の居場所を知っちゃっているのよね……心配しているだけみたいだから、あまり気にしてないけど」
 他の皆には出来れば秘密にしてね、と首を傾げながら言われたものだからその時は納得してしまったのだが、後から考えてみれば胡散臭いこの上ない。
 そんな親切で奇特なホームレスが存在するものか。それに、本当にそのようなホームレスがいるのなら、毎朝手紙を待っているロサの目に止まるはずだ。
 なんだか訳が分からなくなってきたので、4日目にラモンと話しあいたかったのだが、その日は一日中どこかに出かけていた。
 そして5日目、朝早くラモンから電話がかかってきて、昨日合えなかったお詫びと今日の待ち合わせを決めた。電話一本で機嫌が良くなる自分もげんきんだなぁと思うが、嬉しいものは嬉しい。ぎしぎし音の立てる階段を下りてキッチンに向かってみるとロサが珍しくテーブルに座っていた。
「きょ、今日も来てた」とデローリスを見るなり彼女は言う。「れ、例のジ…『GENE』から……き、き、昨日、は、来てな、なかったのに」
 言い終えてから、何故かニヤニヤ笑いながらロサは部屋へと戻っていった。意味が分からずとりあえず朝ごはんを作っていると、食器棚の透明なガラスに外の景色が反射されているのに気がついた。
 吃驚してバッと後ろを振り向くと、キッチンには窓が2つある。まさかと思い、試しにキッチンの電気を消して、もう一度食器棚のガラスを見てみたら、もう少しはっきり外の様子が分かる。鏡ほどではないにしろ、ガラスにだって光を反射する事が出来る。そうしてピンと来た。
 ロサはレオナへ手紙を送っている人物を見たのだ!
 でもそれなら、何故彼女はデローリスにニヤニヤしながら笑っていたのか……


 1つ、思いついた。

 でも、それを確かめるのが怖い…確かめたくもない!



 その夕方、デローリスはラモンと会った。
 いつもなら楽しいはずのデートが、今日はまったく楽しめなかった。
 明らかに元気がないデローリスだったが、ラモンは気づいてないようだった。いつものように、いやいつも以上に楽しく振舞う彼が、初めて憎らしいとも思った。
 問い質したかった、レオナって本当に親戚なのか?
 問い詰めたかった、レオナとはどういう関係なのか?
 ラモンには信じろと言われたし、信じたかった。でも、出来始めた疑心は膨らむばかりで、押さえ切れなくなってきた。その後、デローリスは適当に理由をつけてシェルターに帰った。そして、ドアをバタンと閉め、ベッドにどさりと倒れ1人で泣いた。













 そして今日が6日目。

 レオナとは顔を合わせる気力もなく、デローリスはいつもより早く仕事に出た。オーナーも吃驚していたようだが、給料は上乗せしないと忠告しただけでそれ以上何も言わなかった。愛想の無い嫌な上司ではあるが、こういう時はかえって何も聞いてくれないほうが気楽である。
 お客もまだ少ないので、いつもならやらない掃除を少ししようと奥からモップを取りに良く。しかし、モップは長い間使ってなかったので、掃除用品の入っているロッカーにクモの巣が3つあった。いつかはとうる道だと自分に言い聞かせ、クモの巣を取り除き、掃除用品も軽く汚れを引き取ってやっと店に戻ったらオーナーが誰かと話しこんでいた。


 長身の男で、ジャケットの上からでも分かる筋肉質。漆黒の髪の毛は緩やかなカーブを描いていて、ひげも綺麗に切りそろえている。でっぷり太って頭が薄くなっているオーナーとは正反対の容貌だ。
 思わず眺めていると突然オーナーに呼ばれる。
「おいデローリス!おまぁ、この女知ってなかったか?」
 え、と思って近寄ると、そこにはレオナが写っている写真が!
 盗み撮りしたのか、レオナは明後日の方を向いていた。顔に傷がないのだけではない、周りの景色がおかしかった。どうみてもグアテマラの町並みではないし、看板は英語で書かれている。
 この写真は何処で手に入れたのか男に聞くために顔を上げると、デローリスは思わず息を飲んだ。


 もうそんな年でもないのに、まるで女子学生のように赤面してしまうほど、男はかっこよかった。いや、色っぽくさえある。


 そんな男に目を見つめられるデローリスは、そのままへたり込まないように体をテーブルで支えていた。それを知ってか知らずか、男はいきなり顔を寄せ、低いバリトンで聞いた。







「この女…エイレ・ミサキの居場所、知ってるな?」





↓あとがき



疑心暗鬼な第二四話!


いやぁ~、出ちゃいましたね~…例のあの男が!
(伏字にしなくても、すぐ分かると思うが(苦笑))

デローリスもかわいそうに……
ラモンとレオナ(エイレ)の関係に疑問を持つのはいいことだが、ベクトルを間違っちゃった!
しかも、エイレの名前もばれちゃったよ、苗字まで!
ってか、いろいろとばれ過ぎだよ隊長!!(爆)
この先不安ですな(汗)


では、来週はとうとう修羅場(いろんな意味で)か?!
それとも、デローリスがすっとぼけてニアミス程度なのか?!


では来週、私の年齢(08/08/18 現在)でもある第25話だ!!(←聞いてない)
楽しみに、させてやる!!

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

コメント
この記事へのコメント
うわぁ~!
ドキドキです(^_^;)
楽しみにさせていただきます!(o^-')b
2008/08/19(火) 06:21:05 | URL | うだジロー #-[ 編集]
デローリス、誤魔化せ!誤魔化すんだ!

>もうそんな年でもないのに、まるで女子学生のように赤面してしまうほど、男はかっこよかった。いや、色っぽくさえある。

そんなにかっちょ良かったらオイラも赤面しちゃいますわ(////)ゞ
デローリス、寧ろそいつに惚れればいいんじゃね?(笑)
そしたらレオナへの嫉妬心なんで無くなっちゃうわ♪
(エイレのピンチには変わりないが 爆)

ELたんに「シリアスがいい」とリクエストしておいて、読んでないのは失礼だと思い、一気読みしました~
へ、ヘピィやねん、この話。でも面白いです(^^)
2008/08/19(火) 19:10:30 | URL | いとうはなえ #-[ 編集]
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