異様に色が鮮明な夢、周りが黒や茶色、そして赤で塗りつぶされていた。その中で焦りとほんの少しの恐怖心を感じた。これに終わりはないのか、ここから何時出られるのか。
もうダメだと思った時、呼ばれた気がした。
それは何とも鮮やかな緑の――
夢を見ていた。
御前映礼は起き上がると、時刻が9時を過ぎていた事に気づく。思わずため息が出る、母が半年以上前に亡くなってからずっとこのような生活だ。
大学卒業間近に母の友人から電話が来て、母に癌が出来ていてもう長くないと報告された。卒業論文も出来ていたので、教授に事情を説明し急いで帰国した。映礼が卒業するまで何も伝えるつもりはなかった母だが、あまりにも衰弱していたので耐えられなかった友人が電話したのだ。
発見があまりにも遅かったせいで、何もかもが手遅れだと医者は言った。映礼はセカンド・オピニオンを求めあちこち回ったが、皆首を横に振るだけ。そして入院してから4ヶ月、母は息を引き取った。
それから2ヵ月後に大学の卒業証書が送られてきた。やるせない怒りと悲しみを感じ、映礼はポストの前で泣いた。
シャワーを浴びてからパソコンに向かうと大学の知り合いからメールが来ていた。どうやらその人の好きな俳優が日本に来ているらしくて、映礼に町で見かけたら写真を撮ってと冗談で書いてあった。
苦笑してから、今日は東京へ出ようかなと映礼は考えた。
他にする事がないのだ……動き出すきっかけが見つけずに要るのだ。
電車に揺られながら夢の事を思い出そうとしたが、上手くいかない。最近頻繁に見られる夢だが唯一思い出せるのは最後の、何とも鮮やかで、何とも優しい緑色。それが一体何なのかは分からないが、その色が夢に出てくると心温まるのだ。そして、その色の正体を探ろうとあちこち回っているのだが手がかりは今のところない。
次は渋谷駅とインターホンが流れ、そういえば忠犬ハチ公の銅像見たことないなと降りる事にした。
人ごみの中、忠犬ハチ公の銅像を見つけ、思っていたよりも小さかったが観光客らしき人が携帯で記念写真を撮っていた。彼らが離れてから映礼は近づき、何時までも主人を待つ犬の隣に座り込んだ。自分も何かを待っているような気がして、犬に共感を覚えた。
しかし、ハチ公は主人を待っていたのに対し、映礼は何を待っているのかが分からない……
“Kapitän” ヨーロッパ…いや、ドイツ語だ。
近くでドイツ語が聞こえ、顔を上げる映礼。
長身でアッシュ・ブロンドの髪、そして鮮やかな
緑色の瞳。夢で見ていた色とまったく同じの
緑。
そこで一気に記憶が蘇る。
どうやら、やっと動き出せるようだ。
↓あとがき
始めまりした!
毎週月曜日連載の『バルドの向こう側』
まぁ、今回はプロローグなのでお話は触り程度(苦笑)
では、主人公紹介しますか。

名前: 御前映礼 (みさき えいれ)
年齢: 21
髪の色: 赤褐色
目の色: 茶色
国籍: 日本
身長: 160+
特技: ポリグロット(多言語話者)であり、日・英・仏・独・露・中・伊をほとんど苦なく喋れて、ほかの言語も簡単に読めるが、喋るのには少し時間がかかる程度。
性格は今書いちゃうとネタバレになるので省略(笑)
まぁ、こんな感じで頑張ります。
テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学