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『スタジオ える あっと ブログ』 略して 『鼻眼鏡』!(ええええ?)
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第十九話 『異端者ジェネ』
 白い髪の毛に赤い目をした子どもを、ユリウスは持て余しているようだった。リアンダーが自ら『赤獅子』と名乗り出たら、いきなり気が狂ったかのようにユリウスを殴る蹴るの繰り返し。ユリウスも被害を最小限に抑えようと捕捉してみるも、子どもは人の弱点を的確に狙う攻撃を出すのでかわすのも一苦労のようだ。潔いとまで感じるその攻撃はしかし、普通の子供が身につけるような技ではない。
 ストリート・チャイルドか、とリアンダーは考えた。それなら子どもの繰り出す技が自分の命を守るために身につけてもおかしくはない……あまり良い事とも追わないが。最近では収容所に入りきらないほどの孤児が増えていると聞いたが、この白髪の子どももその一人なんだろう。
 ……いや、もしかしたら彼はもっとひどい待遇を受けているのかも知れない。何せ目立つ白髪に真っ赤な目をしている子供だ、気味悪いと罵る人の姿が簡単に思い浮かべられる。そうやって人から気味悪がれ、遠ざけられ、そして嫌われたのだろうか?
 どうしようもなく遣る瀬無さを感じるリアンダーだったが、同時にこれが今の現実なのだと冷静に割り切っている自分もいた。


 生きているだけで、この子どもは幸運な方なんだと……



 いい加減に痺れを切らしそうなユリウスに代わって、リアンダーが子どもを取り押さえた。するとさらにもがき始めた子どもだったが、リアンダーに敵わないと悟ったのか次第に落ち着き始めた。でも、目はギラギラと睨むまま、歯は食いしばれたままである。
「人の財布を盗むとは、あまり感心できる事じゃないな?」
「うるせぇ!」と子供は喚く「あっけなく盗まれるアンタはどうなんだよ?『赤獅子』もたいした事はないんだな!」
 これに怒ったのはユリウスの方で、「誰に向かって話していると思っているんだ!」と咎めても舌を出されるだけ。
 かえってリアンダーの方は感心していた。この子どもは『赤獅子』の噂を知っているし怯えもしていたが、そのような相手に減らず口を叩けるとは。いや、今も怯えているのだろう、かすかにだが手足が震えているのだから。
「そんな事を言うが、お前はその俺の部下に捕まったんだぞ?」
「あんなのまぐれだ!」
 ああ言えばこういう、リアンダーはこの子どもが新鮮で楽しんでいた。


 思えば、リアンダーに口答え出来る者が少なくなった。昔から『赤獅子』と呼ばれていたが、最近ではその二つ名が独り歩きをし、本当のリアンダーよりの恐ろしい人として知られるようになった。


 曰く、彼の髪は人の血に染まって赤くなった。

 曰く、彼の逆鱗に触れれば失敗に気づく前に斬られる。

 曰く、彼は慈悲も憐れみも感じない、鬼神なのだと。


 どれもこれも、本当のリアンダーを知る者はあり得ないと笑い飛ばすが、知らない者にしてみれば『赤獅子』は恐れるべき対象なのだ。
 だからか、軍内でもリアンダーを逆撫でしないようと皆緊張して彼に口答えはもとい、意見を言う物が少なくなった。


 だから、こうして恐れはしてもふらず口を叩き続ける子どもが新鮮だった。それゆえ、リアンダーの次の行動はたいして意味があるのものではなく、本当に気まぐれなようなものなのだ。
「なぁ、これから役所に突き出されるか、俺の隊に入るか、どっちがいい?」
 これには子どもよりユリウスの方が驚いた。
「何言っているんですか?!こいつは隊長の財布を盗もうとした窃盗犯ですよ!それに、こんな子どもを隊に勧誘するなんて!」
「子どもじゃねぇし、俺にはジェネって名前があるんだ!『赤獅子』の腰巾着のくせに!」
 何か言い返しそうなユリウスをなだめてから、リアンダーはジェネと名乗った子どもにもう一度聞いた。
「で?どうする?役所に突き出せばお前はこれから長い間小さい部屋で苛めぬかれながら惨めな生活を送る事になる。酷ければ手を切り落とされるか命が無くなるか、だな。
 しかし、俺の隊に入れば食も寝る所も気にしなくて良い事になる。その代り、お前は俺の部下になったのだからきちんと働いてもらうし簡単には逃さないぞ?」
 まぁ、強制はしないがなと笑うリアンダー。




 生か死か、ほとんどその二択を選ばせるようなものだ。

 それなれば、ジェネの答えは一つしか無かった。












 今のジェネ(そういえばラモンと呼ばれていた)は成人した男性になっていた。エイレを気にかけてくれたウエイトレス(デローリスと呼ばれていた)を抱きしめるその姿は、昔のジェネからは思いつきもしない光景だ。
 2人の抱擁をなんとなく眺めていると、彼と目があった。そして「誰かと思ったら、アンタか」とスペイン語のまま言ったので、かえってエイレの方が焦った。
「え、あんた達知りあいなの?」
 身を少し離してデローリスが聞くので、どう答えようかと思考錯誤し始めたエイレに変わってラモンが説明した。
「俺のはとこか、そのまたいとこかなんかだ。小さい頃に会ったきりだから、さっきは気付かなかったんだ」
 ラモンの説明にエイレは舌を巻いていた。確かにジェネは昔から舌先三寸で人を翻弄したり危機を乗り越えてきたが、今はそれがさらに精錬されていた。
 そんなラモンの出まかせに驚きながらも、デローリスは疑ってはいない様子だった。
「それなら話しは早いわ。実はねこの子…ええと……」
「レオナ」と咄嗟に偽名を名乗るエイレ。
「そう、レオナがね元彼から逃れようとしているからうちのシェルターを紹介しようと思っているの。
 ねぇラモン、私が仕事からあがるまでちょっと見ててくれない?暴動が怒っちゃったし、元彼が来たら悲惨だから」
 デローリスの願いに、ラモンはあっさり了承した。




「しかし、まさかあんたとここで会うと思わなかったな」
 暴動が治まってからエイレとラモンが席に着くなり、彼は言いだした。不思議な事に彼はスペイン語のままだった。
「私だって…来たくでここに来たんじゃない……」
 反論するエイレを眺めながら、ラモンは煙草を巻いた。そして辺りを見渡してから昔の言語を使い小声で「あいつ等か」と言った。
 この場合、あいつ等というのは敵の事でしかない。頷くエイレだったがラモンの対応に疑問を感じた。
「ラモン…いつから記憶が戻っているの?」とスペイン語で聞く。
「だいぶ前からだなぁ…せっかく新しい人生楽しんでいるのに、厄介なものが帰ってきたなと思ったぜ」
 その言葉に、少しだけ心が痛んだエイレ。ジェネは決して恵まれた子どもではなかったから、今度こそいい人生を欲しがっても仕方がない。それに、もともとジェネは入りたくて隊に入ったわけでもないし、隊長としても去るのなら追わないと決めているのだ。
「だけど」とラモンは続けるので耳を傾けるエイレ「あいつ等の動きは結構把握しているつもりだぜ?…そういえば、他の奴等は?」

 そう聞くラモンにエイレはこれまでの事を話した。




↓あとがき




遅れて来たぜ!第十九話!!


いやぁ~、久しぶりに過去話を入れたら面白いようにストーリーが出てくる(笑)
親衛隊最後の仲間、ジェネことラモンですけど果たしてこれから一緒について来てくれるのかが怪しいところです(苦笑)
「ダメじゃん!」とかは言いっこなしよ


では、先週に引き続き、人物紹介じゃああ!!
昔からの減らず口は今も健在?!のラモン!!
Ramon

名前: ラモン
年齢: 25
髪の色: こげ茶
目の色: 黒
国籍: グアテマラ
身長: 177㎝


目つきが悪いのは仕様です(笑)
さて、これから彼がどんな活躍を見せてくれるか?
それとも、まったく活躍してくれないのか?!
(それは悲惨だ…いろんな意味で)


では、次週もお楽しみに!!

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

コメント
この記事へのコメント
新キャラ、登場♪
過去話、いいですね(o^-')b
こういうの大好きです(^-^)

えっと、誤字をいくつか見つけました。
たぶん変換ミスですが…。
パパさん、また突っ込むのかしら?
ドキドキ(^_^;)
2008/06/03(火) 07:17:26 | URL | うだジロー #-[ 編集]
あ、本当だ!!うだジローさん!
あ、本当だ!!
読み直したら誤字がいっぱい!!

きゃーーー、恥ずかしーーーー!!!

でも、ご指摘ありがとうございます!今後も発見したら、遠慮しないでどんどんつっこんでください!
ELは、叩かれて伸びる子ですから!!
(本当かいな?)

ちなみに、父は小説の方は読まないと思います……ってか、最近では本も読まなくなったらしいですがね(苦笑)
2008/06/07(土) 01:48:41 | URL | EL #-[ 編集]
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