STUDIO EL @ BLOG
『スタジオ える あっと ブログ』 略して 『鼻眼鏡』!(ええええ?)
お知らせ♪
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
第十話 『悪い予感』
 悪い予感は、していたんだ……






「デイビッドって言うらしいよ」
 用意されてあったカリカリのベーコンを頬張るアレックスにエイレは言った。
「じゃ、本当に男だったんだ」
「ニーシャの予想通りにね」
 今日もアレックスは朝早く出かけなくてはならないのに、エイレはその前に起きていてご飯を作ってくれていた。うれしい反面、申し訳ないとも思う。
 姿こそ変われど、彼女は自分の上司であることには変わりないのだから、むしろこういう事は自分がすべきではないのかと何度も思うアレックス。しかし同時に、ご飯を作っている時の彼女の表情が、何とも楽しそうで晴れ晴れとしているから止めさせる方が酷ではないかと思う。
 そのような事を何気なく教えてみたら、エイレは「やっぱり勘が良いはね」と納得していた。


 実際のところ、アレックスは自分が特別に勘が良いと思った事はなかった。幼少の頃など、悪い予感がする度に親に言ってみたものの、父は考えすぎだと、馬鹿な事を考えるなと取り合ってくれなかった。それを裏付けるように身内には何も起こらなかったのだから、アレックスも次第に自分の悪い予感は気のせいだと思うようになった。
 ユリウスの記憶が戻ってからは、アレックスは自分の閃きや予感はため込まなくなった。その大きな理由は隊長の存在で、馬鹿にしないで自分の話を聞いてくれるからだ。
 今でも自分に第六感があるとは思えないが、隊長が信じてくれているのならそれに答えようと、アレックスは誓っていた。


「彼、既にアメリカ行きの飛行機に乗っている頃ね」
 トーストを渡しながらエイレは言った。あまりの事に、渡された体制のまま固まってしまうアレックス。
「もう?既に?」
 驚くのも無理がない。例え昔の記憶が戻ってもアレックスにはスタントマンの仕事が、ニーシャにはエキゾチック・ダンサーの仕事があってそれを簡単には放り出して海外に出かけられない。
 デイビットも学生ではないのだから何らか仕事をしているはずだ。それなのに海外への航空券を手に入れ既に飛行機に乗っているとは考えられない。無職ならあり得るかもしれないが、それならお金の問題ができてしまう。
「金持なのか?」
「そういう印象は受けなかったけど…公認会計士だからそれなりに稼いでいるのかな?」
 でもまぁ、と彼女は続けた。
「今日の夕方に飛行場に着くからその時に聞けばいいしね。私は迎えに行くつもりだけど、アレックスはどうする?」
 アレックスのアパートから飛行場まで20分とそんなに時間がかからない。だから、本来ならエイレと一緒に行かなくてもいいのだ、彼女も子供じゃあるまえし。
 でも、アレックスは紳士であるようにと姉に教え込まれた。それにここは大都会のロサンゼルスでもある。隊長であってもエイレは女性であり、一人で夜の大都会を放浪させるのは十分に危険だ。



 それに、何か、嫌な予感がする。



 自分も行くと伝えるとエイレは心なしかほっとしたようだ。
「あ、万が一の為にアレックスの携帯番号も伝えちゃったけど、大丈夫だった?」
「彼はサンディなんだろう?ならその内に番号を交換するんだから、先でも構わない」
 残りのコーヒーを飲みほし、美味しかったと言いアレックスは席を立ちあがった。本当はここで皿を片づける手伝いをするのだが、時間がないのでそのままリュックを持ち玄関へと向かう。
 ドアノブに手をかけた瞬間、また悪い予感がした。しかし、それは先程までのひやっとした感覚ではなく、もっとずしっと腹に来るような感覚。思わず振り向いてエイレの方を見ると、彼女は首をかしげて微笑んでいた。何か言いたげなアレックスの言葉を待っているのだろう。
 この感覚をどう伝えればいいか分からなくて、伝えられる時間もなくて、それに彼女の微笑みを崩したくなかった。それゆえ、彼は「気をつけて」としか言えなかった。
 ちょっと吃驚しながらもエイレは頷き、貴方もねと優しくかえした。







 このやり取りを、アレックスは当分の間悔み続ける事となる。












「やっぱり、ニーシャの言うとおりだった」
『でしょう?さぁ、惜しみなく称えても良いわよ』
 電話の向こうから聞こえるニーシャの声にエイレは笑った。
「はいはい、さすが軍師様です。御見それしました」
『もう、隊長ほどじゃないですよ~』というニーシャは嬉しそうだった。
 買いたい本があったので、エイレは本屋に出かけていた。そしてこれから帰ろうと思った時に、そういえばニーシャに報告してなかったな、と思い出し電話をかけた。
 起きているかが心配だったが、彼女はちゃんと電話に出た。そして、先ほどの会話へとつながる。
『でも、すぐ来られるなんて…どっかの金持ちのボンボンかしら?むかつく!』
 エイレは苦笑するしかない。
「今夜着くから、その時聞いてみるよ。ニーシャは今夜も仕事でしょ?」
『そうなのよ~』と面倒くさそうに彼女は言う『記憶が戻ってきてからどうもしんどさが倍増しちゃったみたい』
 その言葉にはっとさせられる。
 軍師であったニーシャを何時までもエキゾチック・ダンサーにするのは忍びない。学位がなくとも、ニーシャは十分に社会に貢献できる頭脳を持っているのだ。でも、今の自分の力では彼女と彼女の家族をそこから取り出せるすべがない。
『どうしたのエイレ?だまちゃって…』
 ニーシャの気遣う声でエイレは我に帰った。
「ううん、何でもないよ。じゃ、明日もう一度電話するね?」
 そう約束して2人は電話を切った。









 彼女が言った『明日』は、長い間来ることはなかった。











 アパートに帰ったアレックスは少し驚いた。
 鍵がかかってある。
 自分の生真面目さを知ってか、エイレは遅く帰る事になると自ら電話を入れてくれた。それが今回は無く、帰ってみるとアパートはがらんと静まっていた。


 何かあったのだろうか?いや、結構遅いし既に飛行場に向かっているのかもしれない。そうだ、そうに違いない。


 自分にそう言い聞かせ、無理やり納得しようとした。しかし、あの悪い予感が付きまとって離れない。
 アパートを出る時、うまく鍵をかける事が出来なかった。そして、20メートル歩いたところで携帯を忘れている事に気がついた。
 そうだ、携帯がある!
 アレックスは急いで戻り、エイレの携帯番号をかけたが繋がらなかった。ますます悪い予感が強くなる。


 違う、たまたま彼女の携帯の電池が切れているだ……いや、それかなんかの公共交通機関に乗ってて、携帯をわざと切っているんだ。日本にいた時の癖をここでも使わなくて良いのに…


 そんな思考を止めるかのように、アレックスの携帯が鳴り始めた。
 表示された名前も見ずに「隊長?エイレか?!」と出てしまう。
『えと、ごめん…デイビットなんだけど、君がアレクサンダー?』
「あ、ごめん」自分の顔が熱くなるのが分かったアレックス「ちょっと隊長と電話がつながらなくて――」
『え、君もなの?』



 君もなの?



『かれこれ30分ぐらい電話をかけているんだけど、全く出ないんだよね。もしかして、何かあったの?』









 悪い予感は、してたんだ……ずっと……




↓あとがき


バルドの向こう側、第十話だぜぃ!イエー!!

おお、やっと鬼気迫るっぽい感じに出来ましたよ!!ずっと書きたかったんだけど、それなりに人が集まらないとダメだからね!(ウンウン)

さて、エイレは一体どうしたのか!
はたして無事なんでしょうか!
アレックス、ニーシャの反応は!
そして、デイビットの正体が明らかに!!
(最後のは違うだろ)



では、ちょこっとしか登場がなかったデイビット君の紹介です!

david

名前: デイビット
年齢: 28
髪の色: 砂色
目の色: 水色
国籍: オーストラリア
身長: 180+
仕事: 公認会計士

お気楽な性格で、何事も楽しまなきゃ損だと信じている。背だけがのっぽで体は細い、それに加え食生活が片寄りがちだが直さない。仕事の時間が短いが、仕事も遊びも一生懸命がモットーだからか、効率は良い。


デイビットの性格設定はどことなくオーストラリアの友人に似ているところがあるけど、全くの偶然です!(キッパリ)

ではでは、次回もお会いしましょう!!

スポンサーサイト

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

コメント
この記事へのコメント
気になる~(>_<)
今後の展開が気になる~!
楽しみにしてまーす。
2008/03/11(火) 05:49:50 | URL | うだジロー #-[ 編集]
ありがとうございます~、うだジローさん!
そう言っていただくと、続きを頑張って書こうと思う気になります!
楽しんでいただけるような展開になるように、頑張ります!!オー!!!
2008/03/12(水) 00:23:09 | URL | EL #-[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://studioel.blog118.fc2.com/tb.php/152-4d0623e8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
copyright © STUDIO EL @ BLOG all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。