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『スタジオ える あっと ブログ』 略して 『鼻眼鏡』!(ええええ?)
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第九話 『傾向の仮説』
 ニーシャの起床時間はいつも昼過ぎである。夜の仕事についてからというもの、それが当たり前の事となっていた。当たり前ではあるが、その状態に納得しているかというと、答えはノー。
 太陽の光を浴びるのが少なくなると、彼女の生態リズムが狂ってしまい体調が悪くなるのだ。仕事に慣れていなかった頃は、起きると共に嘔吐を繰り返していた。だから、例え寝る時間が減ってもニーシャはちゃんと太陽を見られるようにしているのだ。
 スプリング式のベッドから身を起こし、ニーシャはナイトテーブルに飾ってある家族の写真に「おはよう」と挨拶をした。


 ニーシャは家族が好きだった。
 ネストルには家族と呼べるものがなかった。身を落ち着かせ、妻を娶る事も彼はしようとしなかった。それにはちゃんとした理由などなく、自由気侭で翻弄癖のある自分が相手を思いやれる自身がなかったのだ。
 ニーシャとなった今では、ネストルのその考えはあまりにも馬鹿げているのだと理解した。彼はただ単に怖かったのだ、家族というしがらみに。
 でも、同時にあこがれていた。
 母の記憶を愛しそうに話すリアンダーの姿に心を動かされたといってもいいだろう。知らない物を恐れる、人間の本能に埋め込まれている感情で、ニーシャは苦笑した。


 カウンターに置いてある携帯を見たらメッセージが届いていた。知り合いでメッセージを送るような仲の人が思いつかなく、少し警戒して開いた。
 何とエイレだった。
 かぶりつく様にメッセージを読んでみると、そこにはブランチのお誘いがあった。アレックスが突然の仕事で出かけしまった為、空き時間が出来たのだと書いてあった。一気に嬉しくなり、待ち合わせ場所を決める為、嬉々としてエイレに電話をかけた。









「サンディって覚えている?」

 オープンカフェでサンドイッチを堪能し、カプチーノを追加で頼んだ後にニーシャが突然聞いてきた。
「覚えているけど…なんで?」
「ちょっとした仮説があるの」
 椅子に座り直してからニーシャは身を乗り出して説明した。
「サンディは多分、男になっていて背が高くなっていると思うの」
 ニーシャの言う事を一瞬理解出来ずに瞬きを何度かしたが、ようやく彼女は『サンディの今の姿』の話をしている事に気がついた。気がついて、何でそんな事が予想できるのか驚いた。
「パターンがあるのよ」とニーシャは軽く言う「ユリウスはとにかく隊長であるリアンダーの役に立ちたかった、リアンダーに頼られる存在でありたかった。つまり、当時よりも大人でありたかったと考えられるわ」
 なるほど、それがアレックスなのだとエイレは納得した。
「私の場合、あまりにも長い間男だったせいで違いを欲していた」
「それと、家族が欲しかった」
 エイレが付け加えると、ニーシャは恥ずかしそうに微笑んだ。
「そして、リアンダーはマザコンだった」
「マっ?!」
 みなを言う前に、エイレは何とか自分を抑えた。自分が、今も昔も、マザーコンプレックスを持っているとも思ってもいなかったので、怒りよりもショックの方が大きかった。
「母が偉大だったのは当たりでしょ?いつも女性は強いな、女性はすごいなって褒めていたのを覚えているんだから」
 顔から火を噴きそうだとエイレは思った。しかし、ニーシャの言う事はもっともなのだ。
 女ひとつでリアンダーを育てた母は、どんな逆行にも挫けず、息子を守り愛し続けた。その姿が誇らしかったのは確かなのだ。でも、母だけが彼に影響を与えていた訳ではない。もう1人、華奢な体に強い意志を秘めていた女性を知っていたのだ。
 それが、ダーシャ王女。
 守るべき筈の人に守られていた気がいつもしていた。リアンダーはダーシャの笑顔を守ろうとしていたが、彼女が実際に笑ってくれると自分が救われていた様な気がしていた。その不思議な力を、リアンダーは憧れていた。
 エイレが納得していると、だからね、とニーシャは続けた。
「サンディは自分の性別と身長に劣等感を感じていたから、こっちではその反対である背の高い男性になっていると思うのよ」
「なるほど」
 納得していると頼んでおいたカプチーノがテーブルに置かれた。



 サンディは背が低く、もしかしたらニーシャよりも低かったかもしれない、童顔のせいで幼く見られていた。王女親衛隊に入れたのはネストルに見込まれての事だった。
 リアンダーが自分の跡継ぎにユリウスを構えていたのと同じで、ネストルはサンディを構えていたのだ。
 頭が良いと言うよりも、記憶力が抜群に良かったのだ。読んだものは全て覚え、それをいつでも引き出せるのに隊全体が舌を巻いた。もう少しで王国図書館の書物を制覇すると言っていたのを覚えてもいる。
 でも、戦闘能力の方はからっきしで、彼女がもしネストルに見込まれていなかったら、才能は発揮されぬまま戦場で命を落としていた可能性が高かった。



 ふと、他の2人はどうなのか、エイレは聞いてみた。
 ここで初めて迷うニーシャ。
「姫様もあの子は、私よりも隊長が知っているんじゃない?」と質問を質問で返されてしまった。
 エイレはそれに答えられぬまま、カプチーノを飲み終え、そのままブランチはお開きになった。









 夜、日課となっているホームページのメールチェックをしていると1つ気になったものがあった。

 件名は英語で『お久しぶりです、赤獅子隊長』と書いてあった。

 王女親衛隊の名前は記してあったが、リアンダーの二つ名はわざと書かなかったものの1つだった。こうすれば本物と偽者を見分けられると考えたからだ。
 興奮した自分を抑えながら、エイレはメールを読んだ。







件名:お久しぶりです、赤獅子隊長

本当にリアンダー隊長なのか、少し信じられない気持ちですが、知りたくてメールをしました。
あ、スミマセン私は元サンディです。ほら、あのメガネをかけた本の虫ですよ。まぁ、今となってはその面影がまったくないのですが(笑)
ところで、私は今オーストラリアに住んでいるのですが――





↓あとがき





おほほほほ
久しぶりのバル側です!

今回は初めて過去話がなかったですね!
自分でもちょっと吃驚しています(えー?)


ではでは、今日もしっとり人物紹介♪
果たして本当に背の高い男性になっているのか?のサンディです!!
(焦って見えるのは仕様です)(爆)
サンディ

名前: サンディ
年齢: 29
髪の色: 薄茶
目の色: 茶
身長: 150+
特技: 読んだものは全て覚えている

運動神経はまったくといって良いほどダメなサンディ(笑)とりあえず姫を連れて逃げるくらいはしなくちゃならないので、毎日走りこみに精を出している。
でも、姫様のほうが身長がでかいので、歩幅でいつも抜かされている(爆)



次は何と第十話!!

いい加減に隊の皆を集めろ!と声が聞こえてきそうです(笑)
ではでは、がんばってまた来週会いましょう!!

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

コメント
この記事へのコメント
あっ、お話だ!
こういうお話、大好きなんです。
なんか、前のお話も探して読んでみますね♪
2008/03/04(火) 18:18:23 | URL | うだジロー #-[ 編集]
え?!ほ、本当にですか!!
こういうお話が好きだなんて!!
嬉しいです!ありがとうございます!!続きを書く気力になります!!!

ええと、この小説は続きもので←のカテゴリー「バルドの向こう側」を押せば全部でてきます♪
設定はちょっとややこしいかもしれませんが、読んでいただけて感謝感激雨あられです!
(古い)
2008/03/05(水) 00:21:45 | URL | EL #-[ 編集]
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